京の特集No.6

京の七不思議をめぐる旅

観光地・繁華街の不思議
東山・新京極コース
清水寺(七不思議)~産寧坂~八坂神社(七不思議)~新京極(七不思議)
平安京の影を訪ねて
出水・天神コース
平安京大極殿跡~出水通り(七不思議)大将軍八神社~北野天満宮(七不思議)
名門氏族の謎めぐり
賀茂氏コース
上賀茂鴨神社(七不思議)~半木神社(植物園内)~出雲路橋~下鴨神社(七不思議)
悠久の都に残された七不思議。
ミステリーツアーの扉、開けてみませんか?

京町家の不思議を訪ねて

京町家には、京都の地図のような建て方があった。例えば、庭と通り庭には石を敷く。昔、京都で石といえば、鴨川上流の鞍馬や貴船、支流の高野川をたどれば八瀬、比叡から山系、あるいは桂川上流の愛宕山系から運ばれた石であった。だから、その置き方は、産地に合わせた東西南北、小さな地質図をつくった。東と西を違えてはいけないのである。町家の中の茶室や数奇屋風座敷に使われる木材でも同じ配慮がなされていた。東山の材は東に、桂川の上流から伐り出された銘木は西に用いられた。恵方を尊ぶ習慣もあって、町家のつくりも方位を大切に、京都の自然と一体に建てたいのである。もちろんそれ以上に、神々も位置も大切である。町家の屋根に乗った鐘馗さんが好きな人は多い。いろんなお姿があって、見に回るマニアもいる。この他、火や水は言うまでもなく、町内ごと家ごとに祀る神様がある。お札を張り、榊を立て、日々供える。町家の暮らしは、身近に感じた自然とともに神々を近く感じていたのである。そして、そんな神々とともに暮らす家の中には、小さな不思議がいっぱいあった。自然だけではない。社寺などの名園からの本家取りがある。町家の庭には、水琴窟も多い。中には、七不思議を真似て取り入れた座敷や庭もある。いわくが好きな家の設えは、贅を尽くした京町家ならではの贅沢である。

町家の信仰も、家や庭の曰く因縁も時代とともに忘れられた。大昔に所有者が変わり、跡取りがいない町家のいわく因縁は、人とともに失われてしまった。今は別の人が商売をしている。だから、もう誰も知らない。でも、その形が残っている。神棚の跡や、恵方が黒ずんでいる。忘却の彼方から浮かび上がる不思議なほぞ穴が、かつての暮らしぶりを思わせる。そんな京町家のいわく因縁を見つけ出すことも町家巡りの楽しみでもある。

今回紹介する「賀茂氏コース」と「出水・天神コース」は洛外も回る。明治以降に市街化された所だが、昭和の前半に建てられた町家も多くある。洛外にも町家を広げて京都にしたのである。そんな近代の町並みにも因縁話はある。今年から洛外でも本格的な町家調査が始まった。

宗田好史(京都府立大学)

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出水・天神コース 賀茂氏コース 東山・新京極コース